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遺産分割とは?分け方4つと手続きの流れ・期限・費用を解説

相続・終活ナビ編集部 / 更新:2026-06-18
遺産分割とは?分け方4つと手続きの流れ・期限・費用を解説
親が亡くなって、財産をどう分ければいいのか分からない——。相続の相談で一番多いのが、この遺産分割の悩みです。結論から言うと、遺産分割は「相続人全員で話し合い、誰が何をもらうか決める手続き」で、進め方には決まった順番があります。

この記事では、4つの分け方、協議から相続登記までの流れ、相続税や期限との関係、トラブル対処、費用と相談先までを一気に整理しました。

私は相続の制度を公式情報という一次情報にあたって整理してきました。専門用語はかみ砕いて、当事者目線で書いていきます。何から手をつけるか、読み終えるころには見えるはずです。

遺産分割とは?相続財産の分け方を決める手続き

【相続】遺産分割協議の『基礎知識』と『分割協議の際に勘違いしやすいポイント』を解説します!
【相続】遺産分割協議の『基礎知識』と『分割協議の際に勘違いしやすいポイント』を解説します!

遺産分割とは、相続人が複数いるときに、相続財産を各相続人へ単独で帰属させるための手続です。法務省も同じ趣旨で説明しています。

遺産分割とは?相続財産の分け方を決める手続き

相続人が複数いる場合、財産はいったん全員の共有になります。誰のものとも決まっていない、宙ぶらりんの状態です。これをほどくのが遺産分割だと考えてください。

遺言書があれば、原則としてその内容が優先されます。遺言書がなければ、民法のルールを踏まえて相続人同士の話し合い、つまり遺産分割協議で分け方を決めます。

遺産分割協議で相続割合は自由に決められる

意外と知られていませんが、協議で合意できれば、分け方は自由です。法定相続分どおりに分ける必要はありません。

ただし条件が一つ。相続人全員の参加が必要です。一人でも欠ければ協議は成立しません。

「あの兄とは話したくない」という気持ちは分かりますが、無視して進めた協議は無効になります。ここは省けません。

目安となる「法定相続分」とは

自由に決められるとはいえ、ゼロから話すのは難しい。そこで目安になるのが法定相続分です。相続人の組み合わせごとに民法で割合が決まっています。

主な法定相続分の組み合わせ
政府広報オンラインの説明にもとづく
相続人の組み合わせ配偶者の取り分他の相続人の取り分
配偶者と子2分の1子全員で2分の1
配偶者と父母3分の2父母全員で3分の1
配偶者と兄弟姉妹4分の3兄弟姉妹全員で4分の1

相続分には、遺言で指定する指定相続分と、この法定相続分があります。協議ではこの数字を出発点にして、実情に合わせて調整していくのが現実的です。

特別受益や寄与分を考慮する場合

きれいに割合どおり、とはいかないのが実際のところ。生前に多額の援助を受けた人がいれば、それは特別受益として取り分の前渡しと見ます。

逆に、親の介護を長年担った、家業を無給で支えた——こうした貢献は寄与分として上乗せを主張できます。

正直、この特別受益と寄与分はもめる原因の筆頭です。金額を客観的に示せる資料があるかで、話し合いの行方が変わります。

遺産分割をしないまま放置するデメリット

「急がなくてもいいか」と放置するのが一番危ない。共有のままでは不動産を売ることも、預金を自由に動かすこともできません。

さらに相続人の誰かが亡くなれば、その人の相続人も加わって、話し合いの当事者が雪だるま式に増えます。

私が見てきた中でも、放置した結果、孫やいとこまで巻き込んで収拾がつかなくなった例は珍しくありません。早く動くほど楽になります。

遺産分割の4つの方法と財産別の具体的な分け方

財産は現金だけではありません。家や土地、株は物理的に切り分けられない。だから分け方には4つの型があります。

遺産分割の4つの方法と財産別の具体的な分け方

遺産分割の対象は、実務上、不動産・預貯金・現金・株式などが中心です。財産の種類ごとに手続きが違うので、ここを押さえておくと後が楽になります。

現物分割・換価分割・代償分割・共有分割の違い

遺産分割の4つの方法
方法内容向いているケース
現物分割財産をそのままの形で分ける家は長男、預金は次男のように分けやすいとき
換価分割売却して現金にして分ける不動産を誰も使わず、公平に分けたいとき
代償分割一人が取得し、他へ現金で精算する自宅を相続人の誰かが住み続けたいとき
共有分割複数人の共有のまま持つ結論を急がず保留したいとき(おすすめしない)

率直に言えば、共有分割は最後の手段です。前章のとおり、共有は将来のトラブルの種を残すだけ。私なら代償分割か換価分割を先に検討します。

不動産の分割と相続登記(2024年義務化への対応)

家や土地を相続したら、名義を相続人へ変える相続登記が必要です。法務省は「不動産を相続した方へ」として、分割を進めて登記するよう促しています。

相続登記は義務化されました。期限や罰則の細かい運用は変わり得るため、最新の扱いは法務省の案内ページで確認するのが確実です。リンクだけ覚えておけば十分です。

換価分割で売る場合も、いったん相続登記をしてからでないと売却できません。順番を間違えないように。

預貯金・株式・有価証券の解約・名義変更手続き

預貯金は、金融機関ごとに相続手続きが必要です。遺産分割協議書や戸籍、相続人全員の印鑑証明を求められるのが一般的です。

株式や投資信託は、まず証券会社で相続人名義の口座へ移す手続きから入ります。現金のように即分けられないので、ここは時間に余裕を見てください。

窓口で必要書類が一行違うだけで出直しになる。私は事前に各社へ電話で書類リストをもらうことを勧めます。

借金などマイナス財産・債務の取り扱い

見落としがちなのが借金です。住宅ローン、事業の負債、保証債務——これらマイナスの財産も相続の対象になります。

債務を遺産分割の対象に含めるかは解説によって扱いが分かれます。協議で「誰が払う」と決めても、債権者には対抗できない点に注意が必要です。

プラスよりマイナスが多そうなら、次章の相続放棄を早めに検討してください。判断には期限があります。

遺産分割の手続きの流れ【5ステップ】

何から始めるか。順番は決まっています。遺言書の確認、相続人の確定、財産の確定、協議、協議書の作成。この5つです。

遺産分割の手続きの流れ【5ステップ】

政府広報オンラインも、遺言書の有無で進め方が変わると説明しています。最初の確認を飛ばさないこと。

遺言書の有無を確認する

まず遺言書を探します。あれば原則その内容が優先され、協議より遺言が先です。

自宅で見つかった自筆の遺言は、家庭裁判所の検認が必要な場合があります。封を勝手に開けないのが鉄則です。

法定相続人の調査・確定をする

次に誰が相続人かを確定します。被相続人の出生から死亡までの戸籍を全部集めて、相続人を漏れなく洗い出します。

ここで前妻の子や認知した子が判明することがあります。一人でも漏れると協議はやり直し。地味ですが最重要の作業です。

相続財産の調査・確定をする

財産の全体像を出します。不動産は名寄帳、預貯金は残高証明、株式は取引報告書。借金も含めて一覧にします。

財産目録を一枚作っておくと、協議の話が驚くほど早く進みます。私は必ずこれを先に作ります。

遺産分割協議書の書き方と記載例・注意点

合意したら遺産分割協議書にまとめます。決まった書式はありませんが、押さえる項目は決まっています。

遺産分割協議書に書く主な項目
項目記載のポイント
被相続人の情報氏名・死亡日・本籍を正確に書く
相続人の情報全員の氏名・住所を記載する
財産の特定不動産は登記事項どおり、預金は支店・口座番号まで書く
取得者誰がどの財産を取得するか明記する
署名押印相続人全員が署名し実印を押す

不動産の表記が登記と一字でも違うと、相続登記で受け付けてもらえないことがあります。登記事項証明書を見ながら書き写してください。

全員分を作って各自が一通ずつ保管。印鑑証明書を添えるのも忘れずに。

遺産分割の期限と相続税・税額軽減の関係

遺産分割審判の流れ|有利に進めるために知っておくべきこと
遺産分割審判の流れ|有利に進めるために知っておくべきこと

協議そのものに法律上の期限はありません。ただし相続税が絡むと、実質的な締め切りが生まれます。それが申告期限です。

遺産分割の期限と相続税・税額軽減の関係

ここを知らずに分割を後回しにすると、使えるはずの軽減が使えなくなる。お金で損する典型なので、丁寧に説明します。

相続税の申告期限(10か月)までに成立させる

相続税の申告と納付の期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。この日までに協議を終えておくのが理想です。

逆算すると、戸籍集めや財産調査に半年近くかかることもあり、思っているより余裕はありません。早めの着手が効きます。

基礎控除・配偶者控除・小規模宅地等の特例と分割

相続税には基礎控除があり、それを超えた部分に課税されます。配偶者の税額軽減や、自宅の評価を下げる小規模宅地等の特例といった大きな軽減もあります。

問題はここ。配偶者の軽減や小規模宅地等の特例は、原則として申告期限までに分割が決まっていることが適用の前提です。

つまり、もめて分割が決まらないだけで税金が跳ね上がる。控除の具体的な要件は税理士に確認するのが安全です。

協議が長引いた場合の未分割申告と更正の請求

期限までに分割が決まらないときは、未分割のまま法定相続分で計算して申告します。これを未分割申告と呼びます。

このとき所定の書類を出しておけば、後で分割が決まった段階で更正の請求をして、配偶者の軽減などを取り戻せる道が残ります。

言い換えると、期限を守って申告さえすれば、軽減を完全にあきらめずに済むということ。手続きが細かいので、こここそ専門家の出番です。

相続放棄・限定承認の判断基準と3か月の期限

借金が多いなら相続放棄という選択があります。期限は、相続の開始を知った時から3か月以内。これは申告期限よりずっと短い。

プラスの範囲でだけ借金を引き継ぐ限定承認もありますが、相続人全員でしか申し立てできず、手続きが重い。実務ではあまり使われません。

私の感覚では、迷ったら早く財産調査を終えて、3か月の壁を意識すること。放棄するなら待ったなしです。

協議が成立しない場合の調停・審判への移行

話し合いで決まらない。残念ながらよくあります。そのときは家庭裁判所の手続きに移ります。

協議が成立しない場合の調停・審判への移行

裁判所は遺産分割について調停と審判という手続きを用意しています。いきなり訴訟ではありません。

遺産分割調停で話し合いを進める

調停は、調停委員を間に挟んで話し合う場です。相手と直接顔を合わせず進められるのが利点です。

感情的にこじれた相手でも、第三者が入ると意外と冷静に着地することがあります。まずはここから。

調停が不成立なら審判へ移行する

調停でまとまらなければ、審判に移ります。審判では、裁判官が法定相続分などを踏まえて分け方を決めます。

自由に決められる協議と違い、審判は法律の枠で判断されます。柔軟さは消える、と思っておいてください。

遺留分侵害額請求が分割に与える影響

遺言で一人に偏った分配がされても、配偶者や子には最低限の取り分である遺留分があります。裁判所も遺留分の手続きを案内しています。

遺留分を侵害された人は、侵害額の支払いを金銭で請求できます。これが遺留分侵害額請求です。

請求には期限があるので、もらえる分が少なすぎると感じたら、早めに弁護士へ相談を。後回しは禁物です。

遺産分割でよくあるトラブルと対処法

前述のとおり、協議は相続人全員の参加が条件です。だから「全員そろわない」事情があると、とたんに難しくなります。

遺産分割でよくあるトラブルと対処法

よくつまずく4つのケースを、対処法とセットで挙げます。自分のケースに当てはまるか確認してください。

行方不明・連絡がとれない相続人がいる

連絡先が分からない相続人がいると、協議が止まります。戸籍の附票から住所をたどるのが第一歩です。

長期間行方が知れない場合は、不在者財産管理人の選任や失踪宣告といった裁判所の手続きを使います。時間はかかります。

未成年者・認知症の人が相続人に含まれる

未成年の子が相続人で、親も同じ相続の当事者なら利益が対立します。この場合は特別代理人を立てる必要があります。

認知症などで判断能力が不十分な相続人がいるときは、成年後見人を選任して協議に参加してもらいます。本人不在で勝手に進めた協議は無効です。

ここは自己流が一番危ない。家庭裁判所の手続きが絡むので、早い段階で専門家に相談してください。

数次相続・代襲相続など複雑なケース

遺産分割の前に相続人が亡くなると、その人の相続が重なります。これが数次相続。当事者が一気に増えます。

被相続人より先に子が亡くなっていれば、孫が代わりに相続する代襲相続が起きます。関係図が複雑なほど、戸籍集めが命です。

放置の章で触れたとおり、ここでも先延ばしが状況を悪化させます。早く動く、これに尽きます。

分割後に遺言書が見つかった・やり直しと課税リスク

協議が終わった後に遺言書が出てくることがあります。遺言が優先されるため、内容によっては協議のやり直しになります。

全員が合意すれば、いったん決めた分割をやり直すこと自体は可能です。ただし、ここに落とし穴があります。

やり直しで財産が移ると、贈与とみなされて課税される場合がある。せっかく分けたのに余計な税金が、という事態です。やり直す前に税理士へ。

知っておきたい近年の法改正と便利な制度

【保存版】遺産分割協議書を自分で作成する方法!作成時の注意点も解説
【保存版】遺産分割協議書を自分で作成する方法!作成時の注意点も解説

相続のルールは近年大きく変わりました。知っているかどうかで、選べる手が増えます。

知っておきたい近年の法改正と便利な制度

政府広報オンラインも改正後のルールを案内しています。実務で効く4つを取り上げます。

配偶者居住権・特別寄与料の新設

配偶者居住権は、残された配偶者が自宅に住み続けられる権利です。所有権は別の相続人が取得しても、住む権利を確保できます。

特別寄与料は、相続人でない親族——たとえば長男の妻が義父を介護した——が、貢献に応じた金銭を請求できる制度です。

10年経過後の特別受益・寄与分の制限

先に触れた特別受益や寄与分は、いつまでも主張できるわけではなくなりました。相続開始から10年を過ぎると、原則として主張が制限されます。

つまり放置していると、本来もらえたはずの上乗せを失う。これも早く分割すべき理由の一つです。

遺産分割前の預貯金の払い戻し(仮払い)制度

政府広報オンラインは、遺産分割前でも一定の場合に預貯金の払戻しを受けられると案内しています。

葬儀費用や当面の生活費に、亡くなった人の口座から一定額を引き出せる仕組みです。協議が長引いても、お金で困る場面を減らせます。

海外居住・外国籍の相続人がいる場合の手続き

相続人が海外に住んでいると、印鑑証明書が用意できません。代わりに在外公館で取得するサイン証明などが必要になります。

外国籍が絡むと準拠法の問題も出てきます。書類の取り寄せに時間がかかるので、早めに専門家へ相談するのが現実的です。

遺産分割の費用と専門家への相談先の選び方

気になるのはお金。遺産分割でかかる費用は、書類取得の実費、登記の費用、専門家への報酬の3つに分けて考えると整理できます。

遺産分割の費用と専門家への相談先の選び方

金額は財産規模や依頼内容で変わります。ここでは確実に言える費用の種類と、相談先の使い分けを示します。

登記費用・必要書類の取得費用など全体像

戸籍謄本や印鑑証明書の取得費用は実費でかかります。相続人が多いほど、集める通数も増えます。

相続登記では登録免許税が必要です。税率は財産の評価額に対して決まるため、不動産が大きいほど費用も上がります。具体額は法務局や司法書士に確認してください。

弁護士に依頼する費用の相場

もめている案件は弁護士の出番です。費用は着手金と、得られた利益に応じた報酬で構成されるのが一般的です。

正直に言うと、金額は事務所や事案で幅が大きく、相場を一律に言い切れません。複数の事務所で見積もりを取り、料金体系を必ず書面で確認してください。

弁護士・税理士・司法書士・行政書士の役割の違い

相続の専門家の役割の違い
専門家主な役割頼むべき場面
弁護士交渉・調停・審判の代理相続人同士でもめているとき
税理士相続税の申告・節税相続税がかかりそうなとき
司法書士相続登記など登記手続き不動産の名義変更があるとき
行政書士協議書作成・書類収集もめておらず書類整備が中心のとき

使い分けの目安はシンプルです。もめているなら弁護士、税金が絡むなら税理士、不動産があるなら司法書士。複数該当するなら、相続をワンストップで扱う事務所に窓口を一本化すると楽です。

よくある質問

遺産分割とは?
相続人が複数いるときに、共有状態の相続財産を各相続人へ単独で帰属させるための手続です。遺言書があれば原則その内容が優先され、なければ相続人全員の遺産分割協議で分け方を決めます。
遺産分割の費用は?
戸籍や印鑑証明などの書類取得の実費、相続登記の登録免許税、専門家に依頼する報酬の3つが中心です。金額は財産規模や依頼内容で変わるため、登記費用は司法書士や法務局、報酬は各事務所の見積もりで確認してください。
遺産分割の始め方は?
まず遺言書の有無を確認します。次に被相続人の戸籍をたどって相続人を確定し、財産目録を作って財産を確定。そのうえで相続人全員で協議し、合意したら遺産分割協議書にまとめます。この5ステップが基本です。

最後に一つだけ。遺産分割は「早く動いた人ほど損をしない」手続きです。10か月の申告期限、3か月の放棄、10年の特別受益の制限——期限はどれも待ってくれません。今日できる一歩は、遺言書を探して、戸籍を集め始めること。それだけで景色が変わります。

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