相続相談はどこにすべき?無料窓口9選を費用で比較

この記事では、相続を相談できる窓口9つを費用と対応内容で比較し、悩み別の選び方、当日までの流れ、後悔しないためのチェックリストまで一気にまとめました。無料で相談できる公的窓口も整理しています。
私は相続・終活ナビ編集部として、法務省や国税庁、各士業会の一次情報にあたって書いています。費用や期限はすべて出典つきです。
相続相談の前に知っておくべき全体像と基礎知識

相談先を選ぶ前に、自分のケースの全体像をつかんでおくと話が早いです。誰が相続人で、何の手続きに期限があるのか。ここを把握せずに窓口に行くと、結局たらい回しになります。

相続相談とは何か・誰に相談できるか
相続相談とは、遺産の分け方や名義変更、相続税、トラブル対応について専門家に意見をもらうことです。相談先は弁護士・税理士・司法書士・行政書士に分かれます。
ざっくり言うと、争いは弁護士、税金は税理士、登記は司法書士、書類作成は行政書士。担当が分かれているので、悩みの中身で選ぶのが基本です。
遺産分割の争いや調停・訴訟は弁護士の領域だと、日本弁護士連合会が案内しています。
法定相続人と相続割合の基本
誰が相続人になるかは民法で決まっています。配偶者は常に相続人。これに子・親・兄弟姉妹のいずれかが順位に従って加わります。
この「法定相続人の数」は、相続税の基礎控除の計算にも直結します。後述しますが、人数が1人増えると控除が600万円増えるので、まず人数を確定させるのが先です。
相続放棄・限定承認(3カ月)と相続税申告(10カ月)の期限から逆算する相談タイミング
相続で怖いのは、知らないうちに期限が過ぎることです。期限のある手続きを表にしました。
| 手続き | 期限 | 起算日 |
|---|---|---|
| 相続放棄・限定承認 | 3カ月 | 自己のために相続の開始があったことを知った日 |
| 相続税の申告・納付 | 10カ月 | 相続の開始を知った日の翌日から |
| 相続登記の申請 | 3年 | 不動産の取得を知った日から |
相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10カ月以内だと国税庁が示しています。
相続登記は2024年4月から義務化されました。取得を知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由なく怠れば10万円以下の過料の対象になり得ます。施行前に発生した相続も経過措置で対象です。
逆算すると、放棄を考えるなら最初の1カ月以内に弁護士か司法書士へ。相続税が出そうなら4〜5カ月目までには税理士へ。これくらいの感覚で動くと焦らずに済みます。
遺言書がある場合・ない場合で相談先はどう変わるか
遺言書があるかないかで、相談すべき相手が変わります。
遺言書がある場合は、その内容に沿って進められるので、不動産があれば司法書士、税金が絡めば税理士が中心になります。ただし内容に不満があり遺留分を主張するなら、ここは弁護士です。
遺言書がない場合は、相続人全員での遺産分割協議が必要です。意見が割れそうなら最初から弁護士に入ってもらうほうが、結果的に早くまとまります。
相続相談ができる窓口9選を比較|費用・無料相談の有無で選ぶ
相談先を同じ基準で並べてみます。弁護士の相続相談は、日本弁護士連合会の案内でおおむね30分・5,500円前後が目安です。まずは全体を一覧で。

| 窓口 | 得意分野 | 費用の目安 | 無料相談 |
|---|---|---|---|
| 法律事務所(弁護士) | 遺産分割・トラブル・調停訴訟 | 30分5,500円前後 | 事務所により無料あり |
| 税理士事務所 | 相続税の申告・節税 | 事務所により異なる(要確認) | 初回無料の事務所あり |
| 司法書士事務所 | 相続登記・名義変更 | 事務所により異なる(要確認) | 初回無料の事務所あり |
| 行政書士事務所 | 遺産分割協議書・各種書類作成 | 事務所により異なる(要確認) | 初回無料の事務所あり |
| 市区町村役場 | 各専門家への橋渡し | 無料 | あり(1回30分程度の制限が多い) |
| 法テラス | 資力要件を満たす人の法律相談 | 無料(要件あり) | あり |
| 税務署 | 相続税の制度説明 | 無料 | あり(事前予約制が基本) |
| 法務局 | 相続登記の申請案内 | 無料 | あり |
| 信託銀行 | 遺産整理・運用 | 要確認 | 商品により異なる |
法律事務所(弁護士)|相続全般・トラブルに対応
相続人同士で揉めている、あるいは揉めそう。その時点で弁護士一択です。遺産分割協議の代理交渉、調停、訴訟まで一貫して任せられるのは弁護士だけだからです。
前述の日本弁護士連合会の案内では、法律相談センターの相続相談はおおむね30分・相談料5,500円前後。まず1回相談して方針を聞くのに使いやすい価格です。
正直、争いがないケースで最初から弁護士に行くと費用は割高になりがち。揉めていないなら司法書士や税理士のほうが向きます。
税理士・司法書士・行政書士|得意分野で選ぶ
この3士業は守備範囲が明確に分かれています。
相続税の申告・節税・税額計算は税理士の典型分野です。基礎控除を超えそうなら、迷わず税理士へ。
不動産の相続登記や名義変更は司法書士の代表分野です。登記義務化で、ここの相談需要は明確に増えています。
遺産分割協議書や相続関係説明図など、書類作成だけで足りるなら行政書士が費用を抑えやすい選択肢になります。
法テラス・自治体・税務署・法務局|公的な無料窓口
お金をかけずにまず話を聞きたいなら、公的窓口が使えます。ただし役割が違うので、使い分けが要ります。
市区町村の無料相談は、1回30分程度などの時間・回数制限が設けられる場合が多いです。具体的な手続きの代行は頼めないので、方向性を確認する場と割り切るのが現実的です。
税務署では相続税の一般的な制度説明が受けられます。個別事案の節税相談ではなく、ルールの確認が中心。対面相談は事前予約制が基本だと国税庁が案内しています。
法務局では相続登記の申請に関する案内を行っています。書き方を聞ける窓口です。
信託銀行・ワンストップ事務所のメリットとデメリット
信託銀行の遺産整理サービスは、窓口がひとつで済む安心感があります。ただし報酬は高めになりやすく、料金は商品ごとに要確認です。実務は提携先の士業が行うことも多いです。
弁護士・税理士・司法書士がそろうワンストップ事務所は、たらい回しがない点が強みです。一方で、各分野が本当に得意かは事務所差が大きい。私なら、争いの大きい案件は専門特化の弁護士に絞ります。
相談内容別フローチャート|あなたはどこに相談すべき?
悩みの種類で最短の相談先は変わります。ケース別に整理しました。前述のとおり、争い・税金・登記のどれが中心かで入口が決まります。

| こんな状況 | 最初に相談すべき先 |
|---|---|
| 相続人同士で揉めている/揉めそう | 弁護士 |
| 相続税が出そう・節税したい | 税理士 |
| 不動産の名義を変えたい | 司法書士 |
| 書類作成だけ手伝ってほしい | 行政書士 |
| まず無料で方向性を知りたい | 自治体・法テラス |
| 相続税のルールを確認したい | 税務署 |
相続トラブル・揉めている場合の代理人選任と利益相反
相続人同士が対立しているとき、1人の弁護士が両方の代理をすることはできません。利益が相反するからです。相続人それぞれが別の代理人を立てるのが原則になります。
だからこそ、揉める前に動くほうが安く済みます。協議が決裂してから弁護士を探すと、調停・訴訟まで進んで費用も時間も膨らみます。
認知症・高齢者が当事者の場合(成年後見・家族信託)
相続人に認知症の方がいると、その人は遺産分割協議に有効に参加できません。判断能力が不十分なまま協議をしても無効になり得ます。
この場合は成年後見人の選任が必要になり、入口は弁護士か司法書士です。親が元気なうちなら、家族信託で備える相談も選択肢になります。早めに専門家へ。
地方・遠方在住や海外資産がある場合の相談先
相続人が各地に散らばっている、被相続人が地方の不動産を持っていた。こうしたケースは、オンライン対応の事務所を選ぶと移動コストが消えます。
海外に資産がある場合は、現地法が絡むため対応経験のある弁護士・税理士に絞るべきです。普通の事務所だと「対応外」と断られることもあるので、最初に確認しておきます。
オンライン相談・チャット相談という選択肢
今はビデオ通話やチャットで初回相談を受ける事務所が増えました。遠方でも自宅から相談でき、複数の事務所を比べやすいのが利点です。
ただし、戸籍など現物確認が要る場面では結局来所が必要になります。非対面は「方針を聞く」段階向き、と考えておくとズレません。
相続相談にかかる費用の総額シミュレーション

費用が後から膨らまないか、ここが一番の不安だと思います。確定している数字と、事務所差で要確認になる部分を正直に分けて書きます。

弁護士・税理士・司法書士それぞれの費用相場
弁護士の初回相談は、日本弁護士連合会の案内でおおむね30分・5,500円前後。これが基準点です。
| 士業 | 主な業務 | 費用 | 出典の有無 |
|---|---|---|---|
| 弁護士 | 初回相談 | 30分5,500円前後 | 出典あり |
| 弁護士 | 遺産分割の代理・着手金・報酬 | 事務所により異なる | 要確認 |
| 税理士 | 相続税申告 | 遺産額に連動することが多い | 要確認 |
| 司法書士 | 相続登記 | 登記する不動産・評価額による | 要確認 |
正直に言うと、着手金や報酬の具体額は事務所ごとにバラバラで、出典で固定できる数字がありません。ここは見積もりを取って比べるしかありません。
遺産額別・依頼内容別の費用モデル
確実に言えるのは税金側です。相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。たとえば相続人3人なら4,800万円までは課税されません。
つまり遺産がこの基礎控除以下なら、そもそも税理士費用は不要です。不動産の名義変更だけなら司法書士、書類作成だけなら行政書士、と必要な分だけ頼むのが総額を抑えるコツです。
無料相談と有料相談の境界・依頼しない場合のキャンセル料
初回無料をうたう事務所でも、2回目以降や具体的な作業に入ると有料になるのが普通です。どこまでが無料か、最初に必ず確認してください。
相談だけして依頼しない場合、相談料以外のキャンセル料は基本かかりません。委任契約を結ぶ前なら断ってよい、と考えて大丈夫です。気まずさを理由に決める必要はありません。
相続の無料相談の始め方と当日までの流れ
始め方はシンプルです。予約して、書類をそろえて、行く。ただし書類集めに時間がかかるので、ここだけ先回りしておくと当日が濃くなります。

予約から正式依頼までのステップ
| 段階 | やること |
|---|---|
| 1. 予約 | 電話・WEBで日時を予約。相談内容を簡単に伝える |
| 2. 書類準備 | 戸籍・残高証明など関係書類を集める |
| 3. 当日 | 現状を説明し、方針と費用見積もりを聞く |
| 4. 2回目以降 | 見積もりを比較し、依頼するか検討 |
| 5. 正式依頼 | 委任契約を結び、手続きを開始 |
税務署の対面相談は事前予約制が基本です。公的窓口も飛び込みは避け、予約してから行くほうが確実です。
必要書類(戸籍・残高証明等)の入手方法と取得日数
相続では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍が要ります。本籍地が何度も変わっていると、複数の役所に請求が必要で、郵送だと往復で1〜2週間かかることもあります。
預金の残高証明は金融機関の窓口で取得します。実際に集めてみると、戸籍集めが一番時間を食います。相談の予約を取ったその日から、並行して動き出すのが正解です。
二次相続を見据えた分割方針の準備
目先の分け方だけで決めると、次に親が亡くなる「二次相続」で税負担が跳ね上がることがあります。たとえば配偶者にすべて寄せると、その配偶者が亡くなったときに相続税が重くなりがちです。
一次と二次をまとめて見られる税理士に、最初の分割段階で相談しておくと後悔が減ります。これは相談時に必ず伝えたい論点です。
【失敗しない】相続相談で後悔しないチェックリスト
相談先選びでつまずく人には、共通のパターンがあります。前述の費用や守備範囲を踏まえ、避けたい失敗と効く質問を整理します。

相談先選びで失敗・後悔した実例
よくあるのが、揉めているのに行政書士に相談してしまうケース。書類作成は頼めても、代理交渉はできません。結局あとから弁護士に行き直すことになり、時間とお金が二重にかかります。
もうひとつは、相続税が出るのに気づかず10カ月の申告期限を逃すパターン。基礎控除の確認だけでも、早い段階でやっておくべきです。
聞いても無駄な質問と効果的な質問例
| 避けたい質問 | 効果的な質問 |
|---|---|
| 「だいたいどうなりますか」と漠然と聞く | 「このケースで取れる選択肢と、各費用は」と具体的に聞く |
| 他事務所の悪口を引き出そうとする | 「同種案件の対応経験はどのくらいか」を聞く |
| ネットで分かる一般論を確認する | 「うちの場合の期限と次の一手は」を聞く |
無料相談は時間が短いので、一般論はネットで済ませ、自分のケース固有の判断を聞くのが正解です。
信頼できる専門家を見極める・複数の事務所を比べる
見極めのポイントは、費用の説明が明確か、相続のその分野の経験があるか、こちらの話を遮らず聞くか。この3つです。
面倒でも、2〜3か所は回って比べてほしいです。初回無料の事務所を使えば費用をかけずに比較できます。最初の1社で即決しないこと。
守秘義務・個人情報の取り扱いという安心材料
弁護士・税理士・司法書士には、いずれも法律で守秘義務が課されています。相談内容や家族の事情が外に漏れる心配は、制度上きちんと担保されています。
だからこそ、お金や家族関係の込み入った事情も、隠さず正確に伝えたほうが良いアドバイスが返ってきます。
相続相談についてよくある質問


