贈与税とは?計算方法と非課税にする8つの方法をわかりやすく解説

超えた分にだけ、10〜55%の累進税率がかかります。
この記事では、贈与税の仕組みと計算方法、非課税にする8つの方法、申告から納付までの流れ、そして名義預金や2024年改正の落とし穴まで、私が公式資料にあたって整理しました。損をしないために必要な順に並べています。
贈与税とは?基本の仕組みをわかりやすく解説

贈与税は、個人から贈与によって財産をもらった個人にかかる税金です。財産をもらった年の時価を課税価格として計算します。

財務省の資料では、贈与税は「相続税の補完税」と位置づけられています。生きているうちに財産を分けて相続税を逃れることを防ぐための税、という性格です。
課税方法は「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つ。どちらを使うかで税負担が大きく変わります。
贈与税の対象になる財産・ならない財産
現金や預金だけでなく、不動産・株式・自動車など、お金に換算できる財産はほぼ対象です。
一方で、対象にならないものもあります。親が子の生活費や学費を必要な都度払う場合、香典や年末年始の贈答、社会通念上相当な見舞金などは課税されません。ここは後の「非課税8つの方法」で詳しく扱います。
暦年課税と相続時精算課税の違い
暦年課税は、1年間にもらった額の合計から基礎控除110万円を引いて課税する方式です。誰でも自動的にこちらが適用されます。
相続時精算課税は、特定の親や祖父母からの贈与について、累計2,500万円まで贈与税をかけず、相続のときにまとめて精算する方式です。超えた部分には一律20%がかかります。
大きな改正点として、2024年1月1日以後の贈与から、相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が使えるようになりました。これは後半で深掘りします。
贈与税がかかる人・かからない人
贈与税を払うのは、財産を「もらった側」です。あげた側ではありません。ここを勘違いする人が多い。
その年にもらった財産の合計が110万円以下なら、贈与税はかからず申告も不要です。複数の人から少しずつもらった場合でも、合計で判定する点に注意してください。
贈与税の計算方法と税率(速算表つき)
暦年課税の計算は、思ったよりシンプルです。手順は「もらった額の合計 − 110万円 = 課税価格」、これに税率をかけて控除額を引くだけ。

税率は10〜55%の8段階の超過累進税率で、相手が誰かによって「一般税率」と「特例税率」の2種類に分かれます。
一般税率(一般贈与財産)の計算
一般税率は、特例税率に当てはまらない贈与に使います。兄弟間、夫婦間、親から未成年の子への贈与などが該当します。
| 課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | 0円 |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 20% | 25万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 |
| 1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
| 1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
| 3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
| 3,000万円超 | 55% | 400万円 |
特例税率(特例贈与財産)の計算
特例税率は、祖父母や父母などの直系尊属から、その年の1月1日時点で18歳以上の子・孫がもらう場合に使います。一般税率より少し低めに設定されています。
| 課税価格 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | 0円 |
| 400万円以下 | 15% | 10万円 |
| 600万円以下 | 20% | 30万円 |
| 1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
| 1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
| 3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
| 4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
| 4,500万円超 | 55% | 640万円 |
両方の計算が必要な場合
1年のうちに、父から(特例)と兄から(一般)など両方の贈与を受けた年は、計算がやや複雑になります。
まず全部を合算して一般税率・特例税率それぞれで税額を出し、もらった額の割合で按分する、という二段構えの計算になります。この手順は国税庁の速算表ページに沿って進めるのが確実です。
具体的な計算例
父から500万円をもらった18歳以上の子のケースで計算してみます。特例税率を使います。
課税価格は500万円−110万円=390万円。速算表で390万円は「400万円以下」なので税率15%・控除額10万円。390万円×15%−10万円=48万5,000円が贈与税額です。
同じ500万円でも、兄からもらった場合は一般税率になります。390万円×20%−25万円=53万円。相手が誰かで4万5,000円変わる、というわけです。
贈与税が非課税・節税になる8つの方法
贈与税は、制度を知っているかどうかで負担が大きく変わります。ここでは合法的に非課税・節税にする8つの方法を整理します。

代表的なものを先に一覧で示します。
| 方法 | ポイント |
|---|---|
| ①年110万円以下の基礎控除 | 暦年課税の基本。申告不要 |
| ②生活費・教育費 | 必要な都度の支払いは非課税 |
| ③夫婦間の居住用不動産 | 最大2,000万円の配偶者控除 |
| ④教育資金の一括贈与 | 2026年3月末で終了予定 |
| ⑤結婚・子育て資金の一括贈与 | 期限つきの特例 |
| ⑥相続時精算課税 | 累計2,500万円まで贈与税なし |
| ⑦住宅取得等資金 | 期限・要件つきの非課税枠 |
| ⑧公益目的・弔慰金など | 寄附や慣習上の贈与 |
年間110万円以下の基礎控除
一番使いやすいのが、暦年課税の基礎控除110万円です。毎年110万円以内なら贈与税がかからず、申告もいりません。
ただし「毎年同じ時期に同額」を続けると、最初からまとまった額を贈与する約束だったとみなされる恐れがあります。後述の贈与契約書で備えるのが安全です。
生活費・教育費・夫婦間の贈与
親が子の生活費や学費を必要な都度負担する分は、もともと贈与税の対象外です。一度に渡して預金に回すと課税対象になり得るので、必要な都度が原則です。
夫婦間では、婚姻20年以上の夫婦が居住用不動産やその購入資金を贈与した場合、基礎控除とは別に最大2,000万円まで控除できる配偶者控除があります。
教育資金・結婚子育て資金の一括贈与
祖父母などから教育資金をまとめて贈与する非課税制度があります。ただしこの制度は2026年3月末で終了予定です。使うなら期限を意識してください。
結婚・子育て資金の一括贈与にも同様の期限つき非課税制度があります。いずれも金融機関での専用口座と領収書の管理が必要で、手間は正直それなりにかかります。
住宅取得等資金の非課税特例の最新要件
直系尊属から住宅取得のための資金をもらう場合、一定額まで非課税になる特例があります。財務省資料では、適用件数は令和3年7.0万件、令和4年5.0万件、令和5年6.2万件と示されています。
要件は細かい。原則として贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅を取得する必要があります。中古住宅の場合は、耐震基準に適合するか、昭和57年以降に建築されたものであることが求められます。
贈与税の申告から納付までの流れ

贈与を受けて110万円を超えたら、申告が必要です。ここは競合記事で意外と薄いので、具体的な流れを丁寧に書きます。

申告期間は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日まで。提出先は、もらった人(受贈者)の住所地を管轄する税務署です。
申告に必要な書類と申告書の書き方
基本は贈与税の申告書(第一表)です。特例税率や相続時精算課税を使うなら、それぞれの計算明細書や添付書類が追加で必要になります。
特例税率を使う場合は、受贈者と贈与者の関係を示す戸籍謄本などが要ります。住宅取得等資金の特例なら、契約書の写しや登記事項証明書も準備します。申告書の書き方は、まず財産の内容と評価額を書き、基礎控除を引き、速算表で税額を出す順です。
提出方法と申告期限
提出方法は3つ。税務署の窓口へ持参、郵送、そしてe-Taxによる電子申告です。e-Taxならマイナンバーカードがあれば自宅から完結します。
期限は3月15日。これを1日でも過ぎると、後述の加算税や延滞税の対象になります。土日にあたる年は翌開庁日にずれるので、その年のカレンダーは必ず確認してください。
納付方法・納付期限・延納制度
納付期限も、申告と同じ3月15日です。申告と納付はセットだと覚えておくと安全です。
納付方法は、金融機関や税務署の窓口、口座振替、クレジットカード、コンビニ納付など複数あります。一度に払えない場合は延納制度があり、担保を提供して最長5年に分割できますが、利子税がかかります。私見ですが、延納は最後の手段で、できれば事前に資金計画を立てておきたいところです。
知らないと損する贈与税の注意点と落とし穴
贈与税で怖いのは、税率より「指摘されたとき」です。ここを知らずに進めると、後から重い負担がのしかかります。

特に名義預金と2024年改正の持ち戻しは、相談現場でも質問が多い論点です。
申告漏れ・無申告のペナルティ(加算税・延滞税)
期限後に申告すると無申告加算税、税額を少なく申告すると過少申告加算税がかかります。さらに納付が遅れた日数に応じて延滞税が上乗せされます。
意図的に隠したと判断されると重加算税という最も重いペナルティが課されます。税率は高い。正直、これは絶対に避けたい領域です。早めに申告するのが一番の防御策です。
名義預金・現金手渡しが指摘される理由と税務調査の実態
名義預金とは、子や孫の名前の口座にお金を入れているが、実際は親が管理している預金のことです。これは贈与とは認められず、相続のときに親の財産として課税されることが多い。
現金手渡しも安全ではありません。記録が残らないぶん、税務署は預金の流れや生活実態から贈与の有無を追います。「バレないだろう」は通用しない、と考えておくべきです。通帳・印鑑を受贈者本人が管理しているか、が分かれ目になります。
2024年改正による生前贈与の持ち戻し期間7年化
暦年贈与で相続対策をする人に直撃するのが、この改正です。相続前の一定期間に受けた贈与は、相続財産に加算(持ち戻し)されます。
加算の対象期間が、従来の3年から7年へ段階的に延長されました。ただし、相続開始前3年超7年以内に受けた贈与については、合計100万円まで加算しない取扱いがあります。早く始めるほど持ち戻しを避けやすい、という構造です。
贈与契約書で証拠を残す実務対策
贈与は口約束でも成立しますが、税務署に「本当に贈与があった」と示すには証拠が要ります。そこで贈与契約書を作るのが実務の基本です。
契約書には、誰が誰に、いつ、何を、いくら贈与するかを明記し、双方が署名・押印します。さらに現金は手渡しせず銀行振込にして記録を残す。この2つをやるだけで、指摘されたときの強さがまるで違います。
贈与税と相続税はどちらが有利?選び方と相談先
「生前に贈与するのと、相続まで待つのと、どっちが得か」。これは一律に答えが出ません。財産額や家族構成で変わります。

判断材料として、暦年課税と相続時精算課税の違い、現金以外の財産の評価、そして相談先の費用感を押さえておきましょう。
相続時精算課税のデメリットと暦年課税との比較
相続時精算課税は累計2,500万円まで贈与税がかからず魅力的に見えます。が、一度選ぶと暦年課税には戻れません。ここが最大の注意点です。
| 項目 | 暦年課税 | 相続時精算課税 |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 年110万円 | 年110万円(2024年〜) |
| 特別控除 | なし | 累計2,500万円 |
| 超過分の税率 | 10〜55% | 一律20% |
| 相続時の扱い | 原則持ち戻しなし(改正で7年分加算) | 贈与分を相続財産に加算 |
| 変更 | いつでも可 | 一度選ぶと戻れない |
私の考えでは、まとまった財産を早めに渡したい場合は相続時精算課税、コツコツ分散したい場合は暦年課税が向きます。ただし2024年改正で精算課税にも年110万円の基礎控除が付いたので、選択肢として再評価されています。
不動産・株式など現金以外の財産の評価
現金と違い、不動産や株式は「いくらとして贈与したか」の評価が必要です。ここで税額が大きく動きます。
土地は路線価などをもとに、建物は固定資産税評価額をもとに評価します。上場株式は贈与日や直近の終値などから低い価額を選べる仕組みです。評価は専門性が高く、自己判断で進めると後で修正を求められやすい領域です。
税理士へ相談すべきケースと費用相場
次のどれかに当てはまるなら、私は税理士への相談を勧めます。
不動産や自社株を贈与する、相続時精算課税を検討している、住宅取得等資金の特例を使う、贈与額が大きい――このあたりは自己流の判断が危険です。費用は依頼内容で幅がありますが、見積もりを複数取って比べるのが失敗しないコツです。
贈与税に関するよくある質問(FAQ)

よくある質問
贈与税は、知っていれば防げる落とし穴が多い税金です。まずは今年もらった額が110万円を超えるかを確認し、超えるなら贈与契約書と振込記録を残すこと。ここから始めれば、後で慌てずに済みます。

