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生前贈与 非課税の7制度を徹底解説|2024年改正と節税の手順

相続・終活ナビ編集部 / 更新:2026-06-18
生前贈与 非課税の7制度を徹底解説|2024年改正と節税の手順
親の財産をどう引き継ぐか、相続税が心配で生前贈与を考え始めた方は多いと思います。結論から言うと、贈与税は年110万円の基礎控除をはじめ7つの非課税制度を組み合わせれば、かなり軽くできます。

ただし2024年の税制改正で「死亡前7年以内の贈与は相続財産に加算」というルールに変わりました。やり方を間違えると節税どころか余計な税金がかかります。

この記事では、私が国税庁の原典にあたって整理した非課税制度の全体像、財産額別の有利不利、贈与契約書の書き方、そして税務調査で否認される失敗パターンまで、当事者目線でまとめます。

生前贈与の非課税とは?相続との違いをわかりやすく解説

失敗事例が多数…絶対にやってはいけない生前贈与を税理士がわかりやすく解説!
失敗事例が多数…絶対にやってはいけない生前贈与を税理士がわかりやすく解説!

生前贈与とは、生きているうちに自分の財産を誰かに無償で渡すことです。受け取った側には贈与税がかかりますが、年110万円までは原則として課税されません。

生前贈与の非課税とは?相続との違いをわかりやすく解説

生前贈与の基本的な仕組み

贈与税の課税方法は「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つです。どちらを使うかで、非課税にできる金額も将来の相続税への影響も変わります。

国税庁の案内によると、暦年課税の基礎控除は年110万円。受贈者ひとりにつき、1月1日から12月31日までの1年間で110万円以下なら贈与税はかかりません。

生前贈与と相続の違い

一番大きな違いは「渡すタイミング」と「渡す相手を選べるか」です。相続は亡くなってから法定相続人へ。生前贈与は生きているうちに、相手も時期も自分で決められます。

孫や子の配偶者など、相続では財産が渡りにくい人にも渡せるのが生前贈与の強みです。事前に財産を整理しておけば、いわゆる『争続』の火種も減らせます。

生前贈与と相続の主な違い
項目生前贈与相続
渡す時期生きているうち亡くなった後
渡す相手自由に選べる原則は法定相続人
かかる税金贈与税相続税
非課税枠年110万円ほか各制度基礎控除など

贈与税の計算方法と税率

暦年課税の贈与税は、1年間に受け取った財産の合計から110万円を引いた残りに税率をかけて計算します。受け取った額が大きいほど税率も上がる累進構造です。

正直に言うと、贈与税の税率は相続税より高めに設定されています。だからこそ「いくらまでなら無税か」を意識した使い方が効いてきます。

生前贈与が非課税になる7つの制度

非課税にできる制度は大きく7つあります。基礎控除のように毎年使えるものから、教育や住宅といった目的限定のものまで幅広い。まず一覧で全体像をつかんでください。

生前贈与が非課税になる7つの制度
生前贈与が非課税になる主な制度
制度非課税の上限ポイント
暦年課税の基礎控除年110万円毎年使える基本枠
おしどり贈与(配偶者控除)最大2,000万円婚姻20年以上・居住用不動産等
相続時精算課税特別控除2,500万円+年110万円届出が必要
教育資金の一括贈与1人1,500万円適用期限あり
結婚・子育て資金1人1,000万円(結婚は300万円)年齢要件あり
住宅取得等資金省エネ住宅1,000万円/他500万円住宅要件・期限あり
生活費・教育費の都度贈与通常必要な範囲使途と金額が条件

上限額や要件は資料により案内が分かれる項目もあります。実行前には国税庁の各制度ページで最終確認するのが安全です。

暦年課税制度による年間110万円の基礎控除

もっとも基本となるのがこの110万円枠です。前述の国税庁の案内のとおり、受贈者1人につき毎年110万円までは贈与税がかかりません。

子2人、孫2人の計4人に110万円ずつ渡せば、1年で440万円を無税で動かせます。コツコツ続けられるのが暦年課税の良さです。

夫婦間で使えるおしどり贈与の非課税制度

婚姻20年以上の夫婦が居住用の不動産やその取得資金を贈与する場合、贈与税の配偶者控除として最大2,000万円まで控除できます。

しかもこの2,000万円は、暦年課税の110万円と併用できます。合わせて2,110万円までが非課税の計算です。

相続時精算課税制度と年間110万円控除の新設

相続時精算課税は、贈与時には税金をかけず、相続のときに合算して精算する仕組みです。特別控除は2,500万円で、これを超える部分には一律20%の贈与税がかかります。

私が注目しているのは2024年からの変更点です。この制度に年110万円の基礎控除が新設され、年110万円以下の贈与は課税対象にならず、相続時の加算からも外れるようになりました。

ただし利用には届出が必要で、一度選ぶと暦年課税には戻せません。ここは慎重に。

教育資金・住宅取得資金・結婚子育て資金の非課税制度

目的を限定した一括贈与の特例も3つあります。それぞれ上限が大きく、まとまった援助に向きます。

教育資金は1人1,500万円まで、結婚・子育て資金は1人1,000万円(うち結婚資金は300万円まで)、住宅取得等資金は省エネ等住宅で1,000万円、それ以外は500万円という整理です。

いずれも適用期限と細かな要件があります。受贈者の年齢や住宅の性能で枠が変わるため、使う前に最新の期限を確認してください。

2024年税制改正で変わった生前贈与のルール

ここが今いちばん大事な論点です。2024年の改正で、生前贈与の「賞味期限」が実質的に延びました。早く始めた人ほど得をする設計に変わったのです。

2024年税制改正で変わった生前贈与のルール

生前贈与加算が7年に延長された影響と経過措置

暦年課税では、贈与者が亡くなる前一定期間の贈与が相続財産に加算されます。この期間が、従来の3年から7年へ延長されました。

つまり亡くなる7年前までの贈与は、せっかく渡しても相続税の計算に戻されてしまう。延びた4年分には総額100万円の控除が設けられていますが、それでも加算対象が広がった影響は小さくありません。

正直、この改正は「駆け込みで一気に贈与」という発想を弱めます。だからこそ早めに、計画的に始めることが効いてきます。

相続時精算課税と暦年課税の損得比較

改正後、両者の有利不利は逆転しかねません。暦年課税は7年加算がネック。一方、相続時精算課税は年110万円の基礎控除分が加算の対象外になります。

私の見立てでは、高齢で相続が近い方ほど相続時精算課税の110万円枠が有利になりやすい。逆に、まだ若くて長く贈与を続けられる方は暦年課税のほうが総額を多く動かせます。

暦年課税と相続時精算課税の比較(2024年以降)
項目暦年課税相続時精算課税
年間の非課税枠110万円110万円(基礎控除)+特別控除2,500万円
相続時の加算死亡前7年以内を加算110万円超の贈与を加算
110万円分の加算加算される加算されない
届出不要必要・撤回不可

認知症発症後は生前贈与ができなくなるリスク

見落とされがちですが、これは現場でいちばん怖いリスクです。贈与は「あげます」「もらいます」という意思の合致で成立する契約。判断能力が失われると、その意思表示ができなくなります。

認知症が進んでからでは、原則として有効な生前贈与はできません。成年後見人がついても、本人の財産を減らす贈与は基本的に認められない。だから元気なうちに動くこと。これに尽きます。

数値でわかる生前贈与の節税効果シミュレーション

贈与税(暦年課税)の2024年改正をわかりやすく解説【3年から7年ルールへ】
贈与税(暦年課税)の2024年改正をわかりやすく解説【3年から7年ルールへ】

制度の名前を並べるだけでは判断できません。自分の財産額でどの方法が有利か、ここでざっくり試算します。

数値でわかる生前贈与の節税効果シミュレーション

財産額別に見る贈与と相続どちらが有利か

目安はシンプルです。相続税がかからない、あるいはごく軽い財産額なら、無理に生前贈与を急ぐ必要は薄い。相続税が重くなる財産額ほど、年110万円の積み重ねが効いてきます。

財産額別の生前贈与の考え方(目安)
財産額の目安向きやすい方法ねらい
相続税がかからない範囲相続中心で十分急いで贈与しない
相続税が中程度暦年110万円を計画的に長期で総額を移す
相続税が重い各非課税制度を併用目的別に大きく移す
相続が近い高齢相続時精算課税の110万円加算対象を回避

これはあくまで考え方の枠組みです。実際の金額は財産構成で大きく変わるので、最後は試算が必要になります。

非課税制度の併用可否と組み合わせ例

制度は単独で使うより、重ねたほうが効きます。代表例が、おしどり贈与の2,000万円と暦年110万円の併用。合計2,110万円を一度に非課税で動かせます。

教育資金や住宅資金の一括贈与も、暦年課税の枠とは別枠です。目的が違う制度を組み合わせると、移せる金額の総量がぐっと増えます。

一方、暦年課税と相続時精算課税は同じ贈与者・受贈者の間で同時併用はできません。ここは取り違えないように。

贈与する財産の種類別の注意点と評価方法

現金は額面そのままで分かりやすい。問題は不動産や有価証券、自社株です。

不動産は時価ではなく評価額で計算され、後述する取得税や登録免許税という付随コストも生じます。上場株式は贈与日前後の株価を基に評価し、自社株は会社の規模や資産で評価が大きく動く。種類ごとに評価のクセが違う、とだけ押さえておいてください。

生前贈与の手続きの流れと必要書類

非課税枠を使う前提でも、手続きの形が崩れると否認されます。流れは「契約書を作る→財産を渡す→必要なら申告する」。順番に見ます。

生前贈与の手続きの流れと必要書類

贈与契約書の書き方と記載事項・実印や確定日付の要否

110万円以下でも、私は贈与契約書を作ることを強くすすめます。理由は単純で、後から税務署に「本当に贈与したのか」を証明するためです。

記載するのは、贈与者と受贈者の氏名・住所、贈与する財産と金額、贈与の日付、双方の署名。実印でなくても契約自体は有効ですが、実印+印鑑証明があると証拠力が増します。

日付の客観性を高めたいなら、公証役場で確定日付をもらう方法もあります。不動産の贈与なら、契約書をもとに登記まで済ませておくこと。

申告が必要なケースと申告期限・方法

年110万円以下なら、暦年課税では原則として申告は不要です。一方で、110万円を超えた場合や各種の特例を使う場合は申告が必要になります。

申告は、贈与を受けた年の翌年に行います。相続時精算課税を選ぶときは、110万円以下でも届出と申告が必要になる点に注意してください。

不動産取得税や登録免許税など付随コスト

不動産の生前贈与で見落としがちなのが、贈与税以外のコストです。名義を変えるだけでお金がかかります。

具体的には、不動産取得税と、名義変更(所有権移転登記)にかかる登録免許税。相続で取得する場合に比べ、贈与は登録免許税の税率が高くなる傾向があります。

つまり「贈与税ゼロ」でも、付随コストで意外と出ていく。不動産は総コストで比べてください。

生前贈与で失敗しないための注意点と否認された事例

ここが慎重に進めたい人に一番読んでほしいところです。形だけ整えても、実態が伴わなければ税務署はあっさり否認します。

生前贈与で失敗しないための注意点と否認された事例

名義預金とみなされないための口座・通帳管理

よくある失敗が「名義預金」です。子ども名義の口座にお金を入れていても、通帳と印鑑を親が管理し、子が存在を知らなければ、税務署は親の財産とみなします。

対策はシンプルです。口座は受贈者本人が開設・管理する。通帳と印鑑も本人が持つ。お金を実際に使えるのは本人、という状態を作る。これで実態が伴います。

毎年同額の贈与を避ける理由

毎年きっちり110万円を同じ日に贈与し続けると、「最初からまとまった額を分割で贈与する約束だった」と見られるおそれがあります。いわゆる定期贈与の論点です。

金額や時期に変化をつけ、その都度きちんと契約書を交わす。手間ですが、この一手間が後の安心につながります。

税務調査で否認された失敗ケース

否認されるパターンには共通点があります。契約書がない、受贈者がお金の存在を知らない、口座の管理が贈与者のまま。この3つが揃うと厳しい。

逆に言えば、契約書を残し、本人が管理し、申告すべきものは申告する。当たり前のことを丁寧にやるだけで、ほとんどのリスクは避けられます。

生前贈与の非課税についてよくある疑問

生前贈与vs遺産相続 どちらが得なのか税理士が回答します
生前贈与vs遺産相続 どちらが得なのか税理士が回答します

最後に、私が相談を受けてよく聞かれる質問を3つ。短く答えます。

生前贈与の非課税についてよくある疑問

よくある質問

毎年少額ずつ贈与すれば非課税になる?
暦年課税なら年110万円以下の贈与は原則非課税です。ただし毎年同額・同時期だと定期贈与とみなされるリスクがあるため、金額や時期を変え、都度契約書を残してください。
もらう側の手続きや税負担は?
贈与税を負担するのは原則もらった側(受贈者)です。年110万円以下なら申告不要ですが、超える場合や特例利用時は受贈者が翌年に申告します。口座は本人が管理することが大切です。
誰に相談すればよい?
財産額が大きい、不動産や自社株が絡む、相続が近いといったケースは、相続に詳しい税理士への相談をすすめます。制度の併用や有利不利の判断は、個別の財産構成で結論が変わるためです。

私からの率直な一言。生前贈与は「早く・計画的に・記録を残して」が全てです。認知症や7年加算を考えると、迷っている時間こそがコストになります。

まずは家族の財産をざっと書き出し、110万円贈与を今年から始められるか確認する。その一歩を今日動かしてください。

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