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相続税・生前贈与

相続税の計算方法を3ステップで解説|早見表・控除・事例つき

相続・終活ナビ編集部 / 更新:2026-06-18
相続税の計算方法を3ステップで解説|早見表・控除・事例つき
「うちは相続税がかかるのか、かかるとしていくらなのか」。親の財産を前にして、まずここで手が止まる人は多いです。結論から言うと、相続税は『3,000万円+600万円×法定相続人の数』を超えた財産にだけかかります。

計算は3ステップ。課税遺産総額を出し、法定相続分で按分して税額を求め、各人の取り分で配分して控除を引く。この順番さえ覚えれば、おおよその額は自分で試算できます。

この記事では、基礎控除や税率表、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例まで、国税庁の情報を一次資料にして整理しました。ケース別の計算例と、私が一番見落としやすいと思う二次相続の話も入れています。

相続税の計算とは?対象になる財産と人の割合

相続税の計算方法を具体例つきで日本一わかりやすく解説します!
相続税の計算方法を具体例つきで日本一わかりやすく解説します!

相続税の計算とは、亡くなった人(被相続人)の財産を引き継いだときに、その正味の財産額をもとに納める税額を割り出す作業です。まず「何が課税対象か」を押さえないと、計算の出発点がずれます。

相続税の計算とは?対象になる財産と人の割合

相続税とは「相続財産を取得した際に支払う税金」

相続税は、相続や遺贈によって財産を取得した人にかかる税金です。財産の合計が基礎控除を超えなければ、原則として税額は発生しません。

つまり「相続=必ず課税」ではない。むしろ多くの家庭は基礎控除の枠内に収まります。

相続税の対象となる財産・ならない財産

課税対象は、現金・預貯金・不動産・有価証券などのプラスの財産が中心です。さらに、一定の生前贈与財産も課税価格に含まれることがあります。国税庁は相続財産の範囲と課税価格の考え方を案内しています。

一方で、借入金などの債務や葬式費用は財産から差し引けます。墓地・仏壇など祭祀に関する財産は、原則として課税対象になりません。

相続税の対象となる人の割合

正直に言うと、相続が起きた全員に税金がかかるわけではありません。基礎控除があるため、課税されるのは亡くなった人のうち一部です。

だからこそ、最初にやるべきは「基礎控除を超えるかどうか」の判定。ここを飛ばして細かい控除から調べ始めると、遠回りになります。

【3ステップ】相続税の計算方法をわかりやすく解説

相続税の計算は、国税庁が示す手順に沿えば迷いません。課税遺産総額を出す→相続税の総額を出す→各人に配分して控除する、の3段階です。

【3ステップ】相続税の計算方法をわかりやすく解説

ステップ1:課税遺産総額を算出する

まず、財産から債務・葬式費用を引いた「課税価格の合計額」を求めます。そこから基礎控除額を差し引いた残りが課税遺産総額です。

基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。前述の国税庁No.4152で示された計算式です。これを下回れば課税遺産総額はゼロになります。

ステップ2:相続税の総額を算出する

次に、課税遺産総額を法定相続分で按分します。各人が法定相続分どおりに取得したと仮定し、その金額に税率をかける。それを全員分合計したものが相続税の総額です。

ポイントは、実際の遺産分割の割合ではなく、いったん法定相続分で計算すること。ここを取り違えると総額がずれます。

ステップ3:実際の相続分で按分し税額控除を行う

最後に、相続税の総額を「各人の課税価格÷課税価格の合計額」で配分します。つまり、実際に多く取得した人ほど多く負担する仕組みです。

配分後、各人ごとに配偶者の税額軽減などの控除を差し引いた額が、実際の納付税額になります。

相続税の税率表(速算表)と控除額の一覧

相続税の税率は、法定相続分に応じた取得金額に適用する累進税率です。国税庁の税率表は10%から55%までの6段階で構成されています。

相続税の速算表(法定相続分に応ずる取得金額ごとの税率と控除額)
国税庁の相続税の税率に基づく。各人の法定相続分相当額に税率をかけ、控除額を引いて税額を求める。
法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%0円
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

基礎控除と非課税枠の計算で課税対象を正しく減らす

課税対象を減らせるかどうかは、基礎控除と各種の非課税枠を正確に使えるかで決まります。法定相続人の数え方を間違えると、基礎控除額そのものがずれます。

基礎控除と非課税枠の計算で課税対象を正しく減らす

基礎控除額の計算と法定相続人の数え方(養子・代襲・相続放棄)

基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。たとえば法定相続人が3人なら、3,000万円+600万円×3=4,800万円までは相続税がかかりません。

数え方には独特のルールがあります。相続放棄をした人がいても、放棄が無かったものとして人数に含めます。代襲相続で孫が相続人になる場合も、その孫を数えます。

養子は人数に算入できる数に制限があります。実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は2人まで、という上限です。ここは自己流で数えず、戸籍で確認するのが安全です。

生命保険金・死亡退職金の非課税枠の計算

死亡保険金と死亡退職金には、それぞれ「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。法定相続人が3人なら1,500万円まで非課税です。

現金で残すより、保険として受け取るほうがこの枠の分だけ有利になることがあります。私が相談を整理していて感じるのは、この枠を使い切っていないケースが意外と多いという点です。

小規模宅地等の特例による評価減

自宅の土地などは、小規模宅地等の特例で評価額を大きく下げられる場合があります。一定面積まで、評価額を最大80%減額できるのが特徴です。

ただし、誰が取得するか、同居していたか、申告するか、といった要件が細かい。特例を使って初めて基礎控除内に収まるケースでも、申告自体は必要になります。

債務控除・葬式費用で引けるもの・引けないもの

借入金や未払いの税金、医療費などの債務は、財産から差し引けます。葬式費用も控除の対象です。

葬式費用として引けるもの・引けないものの区分
引けるもの(控除対象)引けないもの(控除対象外)
通夜・葬儀・火葬・埋葬の費用香典返しの費用
お寺へのお布施・読経料墓地・墓石の購入費用
遺体の運搬・安置にかかる費用初七日や法事など法要の費用

香典返しと墓石代を葬式費用に入れてしまうのは、ありがちな間違いです。ここは線引きを覚えておくと安心です。

ケース別の具体的な計算事例で流れをつかむ

相続税の計算方法を初心者にもわかりやすく10分で解説します
相続税の計算方法を初心者にもわかりやすく10分で解説します

理屈だけでは腑に落ちないので、数字を入れて追います。ここでは課税価格の合計額を1億円とし、基礎控除を引いた後の流れを示します。

ケース別の具体的な計算事例で流れをつかむ

配偶者と子が相続人の場合の計算例

配偶者と子2人の計3人が相続人なら、基礎控除は3,000万円+600万円×3=4,800万円。課税価格1億円から引くと、課税遺産総額は5,200万円です。

これを法定相続分で按分します。配偶者2分の1で2,600万円、子はそれぞれ4分の1で1,300万円ずつ。速算表を当てると、配偶者は2,600万円×15%−50万円=340万円、子は1,300万円×15%−50万円=145万円。

相続税の総額は340万円+145万円+145万円=630万円。実際の取り分で配分し、配偶者は税額軽減でさらに大きく減ります。

子だけが相続人の場合の計算例

配偶者が既に亡くなり、子2人だけが相続人のケース。基礎控除は3,000万円+600万円×2=4,200万円です。

課税価格1億円なら課税遺産総額は5,800万円。子の法定相続分は各2分の1なので2,900万円ずつ。2,900万円×15%−50万円=385万円が1人分で、総額は770万円になります。

配偶者がいない分、配偶者の税額軽減が使えません。同じ財産額でも、子だけのほうが負担が重くなりやすいわけです。

兄弟姉妹や孫が相続人の場合と2割加算

ここで注意したいのが2割加算です。配偶者・父母・子以外の人が財産を取得した場合、税額控除前の相続税額に20%が上乗せされます。

兄弟姉妹が相続する場合や、孫に遺贈する場合が代表例です。孫を養子にしても、原則として2割加算の対象になります。「孫に直接渡したい」が裏目に出ることがある、という点は知っておいてください。

相続税早見表の見方と活用時の注意点

早見表は、配偶者がいる場合・子だけの場合などの典型ケースで、財産額ごとの税額の目安をまとめたものです。あくまで概算の出発点として使います。

注意点は3つ。課税遺産総額を誤ると総額がまるごと変わること、相続税がゼロでも特例適用などで申告が必要な場合があること、そして二次相続まで見ないと本当の負担が読めないこと。

知らないと損する税額控除を網羅して解説

控除を使い切れるかで納税額は大きく変わります。代表的な6つを、計算の根拠とあわせて整理します。

知らないと損する税額控除を網羅して解説

配偶者の税額軽減と遺産取得割合の考え方

配偶者の税額軽減は、配偶者が取得した正味遺産額のうち「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」のいずれか多い金額まで相続税がかからない制度です。

配偶者の遺産取得割合とは、配偶者が実際にどれだけの財産を取得したかの割合のこと。この割合に応じて軽減額が決まります。つまり、配偶者が多く取得するほど一次相続の税額は下がります。

ただし、ここで寄せすぎると二次相続で跳ね返る。これは後段で詳しく書きます。

未成年者控除・障害者控除

未成年者控除は、18歳未満の相続人について「18歳に達するまでの年数×10万円」を税額から差し引けます。

障害者控除は、一般障害者なら「85歳に達するまでの年数×10万円」、特別障害者なら「×20万円」です。

どちらも控除額が本人の税額を上回るときは、扶養義務者の税額から引ける部分があります。使い忘れると単純に損です。

贈与税額控除・相次相続控除・外国税額控除

贈与税額控除は、生前贈与加算で相続財産に足し戻した贈与について、すでに払った贈与税を相続税から差し引く仕組みです。二重課税を防ぐためのものです。

相次相続控除は、短い期間に相続が続いたときの控除。外国税額控除は、海外財産に外国の相続税相当額がかかった場合の調整です。該当する人は限られますが、当てはまれば効果は大きいです。

生前贈与加算(3年・7年ルール)と精算課税制度の影響

亡くなる前の一定期間に行われた贈与は、相続財産に加算されます。従来は死亡前3年分でしたが、制度改正により対象期間が段階的に7年へ延びていく扱いになっています。

相続時精算課税制度を選ぶと、その贈与は基本的に相続時に精算されます。「贈与で渡せば相続税は関係ない」と単純に考えると、計算でつまずきます。

【独自】二次相続まで見据えた試算で総額を抑える落とし穴

私が一番伝えたいのはここです。一次相続だけ見て「配偶者に全部寄せれば税金ゼロ」と判断すると、二次相続で大きく増えることがあります。

【独自】二次相続まで見据えた試算で総額を抑える落とし穴

二次相続とは

二次相続とは、最初の相続(一次相続)で財産を引き継いだ配偶者が、その後亡くなったときに起きる2回目の相続のことです。

このとき相続人は子だけ。配偶者の税額軽減は使えず、法定相続人が1人減るぶん基礎控除も小さくなります。

一次相続で配偶者に寄せすぎると損する理由

一次相続で配偶者に全財産を寄せると、税額軽減で当面の税金はほぼゼロにできます。けれど、その財産は配偶者自身の財産と合算され、二次相続でまとめて課税されます。

しかも二次相続は配偶者軽減なし・法定相続人が1人少ない。結果として、一次・二次の合計でみると損するパターンが起きます。配偶者の取得割合は、目先のゼロだけで決めない。これが落とし穴です。

兄弟姉妹・孫のケースで起きやすい計算ミス

子がいない夫婦で配偶者と兄弟姉妹が相続人になるケースは、法定相続分も2割加算も絡んで間違えやすい。孫に遺贈するときも、前述のとおり2割加算を忘れがちです。

このあたりは早見表だけでは拾いきれません。複雑なケースほど、シミュレーションや専門家での確認を挟むべきだと考えます。

申告期限・納付と払えないときの対処法

【相続税】を計算する【基本的】な手順を【具体例】を使って解説
【相続税】を計算する【基本的】な手順を【具体例】を使って解説

期限を外すとペナルティがつきます。納税資金が足りない場合の制度も含めて、ここは事務的に押さえておきましょう。

申告期限・納付と払えないときの対処法

申告期限・納付期限と必要書類・手続きの流れ

相続税の申告・納付期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。申告が必要かは、原則として課税価格の合計額が基礎控除を超えるかで判定します。

流れは、財産と相続人の確定→評価→分割協議→申告書作成→納付。戸籍や残高証明、不動産の評価資料など集める書類が多く、10か月は思ったより短いです。早めに動くのが正解です。

延納・物納制度と資金準備の方法

相続税は現金一括が原則。それが難しい場合に、分割で納める延納や、財産そのもので納める物納があります。

物納には認められる順序があり、現金納付が困難なときの例外的な手段です。納期限までに申請が必要です。

納税資金が不安なら、生命保険の活用や、分割の方針を早めに決めて流動性のある財産を確保しておくのが現実的です。

申告漏れ・誤りへの加算税・延滞税

申告を怠ったり、税額を少なく申告したりすると、本来の税金に加えて加算税や延滞税が上乗せされます。期限後の納付には延滞税がつきます。

「基礎控除内だと思って申告しなかったら、特例適用が前提で実は申告必須だった」というケースは要注意。判定に迷うなら、申告しておくほうが安全です。

自分で計算・ツール・税理士の比較とよくある質問

最後に、誰に・何を頼むかの判断です。財産がシンプルなら自分でも十分。不動産や自社株、二次相続が絡むなら専門家を入れたほうが結局安く済むこともあります。

自分で計算・ツール・税理士の比較とよくある質問

自分で計算する場合とツール・税理士の比較

相続税の計算方法ごとの比較
費用は方法の一般的な傾向を示すもので、実際の金額は財産内容や事務所により異なる。
方法向いているケースメリットデメリット
自分で計算現預金中心で財産がシンプル費用がかからない評価や特例の判断ミスが起きやすい
シミュレーションツール概算をすぐ知りたい無料で手早く目安が出る特殊なケースは反映しきれない
税理士に依頼不動産・自社株・二次相続が絡む特例適用と申告の確実性が高い報酬がかかる

私の立場をはっきり書くと、現預金だけならツールで十分、土地や非上場株が入るなら税理士を勧めます。評価の差がそのまま税額の差になるからです。

税理士報酬の目安と見積りに含まれないもの

税理士報酬は、遺産総額に応じて決まる事務所が多い傾向です。基本報酬に加えて、相続人が多い・土地が複数あるなどで加算されるのが一般的です。

見積りに含まれないことがあるのは、相続登記の登録免許税や司法書士費用、戸籍などの実費、書面添付や税務調査対応の追加分など。「総額でいくら出ていくか」で比べると失敗しません。

よくある質問(FAQ)

よくある質問

相続税の計算とは何ですか?
亡くなった人の正味の財産額をもとに、納める税額を割り出す作業です。財産から債務・葬式費用を引き、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた部分に課税されます。超えなければ原則として税額は発生しません。
相続税の計算(税理士に頼む場合)の費用はどれくらいですか?
遺産総額に応じて報酬が決まる事務所が多く、相続人の人数や土地の数などで加算されます。これとは別に、登記費用や戸籍などの実費が必要です。見積りに含まれない項目があるため、総額で比較するのが安全です。
相続税の計算の始め方は?
まず財産と債務を一覧にして課税価格を出し、基礎控除と比べます。超えそうなら、法定相続分で按分→税率表で総額を計算→実際の取り分で配分→控除、の3ステップで進めます。判断に迷う特例があれば、税理士に確認してください。

相続税は、順番どおりに数字を入れれば全体像はつかめます。まずは基礎控除を超えるかどうか、今日のうちに一度試算してみてください。

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