改葬とは?手続きの流れ・費用・必要書類をわかりやすく解説

ただし墓石の撤去やお寺へのお布施を含めると費用は数十万円規模になり、期間も3か月から半年ほど見ておく必要があります。
この記事では、改葬の定義から墓じまい・分骨との違い、手続きの流れと必要書類、費用相場、親族やお寺ともめないコツまでを、私が自治体の公式案内を一つひとつ確認しながら整理しました。
改葬とは?意味と墓じまい・分骨との違い

まず言葉の整理から。改葬とは、すでに埋葬・収蔵されている遺骨を別の墓地や納骨堂へ移すことを指します。墓地、埋葬等に関する法律にもとづき、移すには市区町村長の許可が必要です。

改葬の定義をわかりやすく解説
簡単に言えば「遺骨のお引っ越し」です。今のお墓から遺骨を取り出し、新しいお墓や納骨堂に納め直す。これが改葬の中身です。
勝手に動かしてはいけない、という点がポイント。名古屋市は、遺骨が納められている墓地・納骨堂の所在地を管轄する市町村長の許可が必要だと案内しています。許可なく移すのは法律違反になります。
改葬と墓じまいの違い
よく混同されますが、墓じまいは「今のお墓を撤去して更地に戻し、墓地の使用権を返すこと」を指す言葉です。
改葬は「遺骨を移すこと」。つまり墓じまいをして取り出した遺骨を別の場所へ移せば、それが改葬です。墓じまいは出口、改葬は移転先まで含む全体の流れ、と私は整理しています。
分骨との違いと分骨を伴う場合の注意点
分骨は、遺骨の一部だけを取り分けて別の場所で供養することです。全部を移す改葬とは性質が違います。
注意したいのは書類。分骨だけなら墓地の管理者が発行する「分骨証明書」で足りる場合が多く、改葬許可は不要なケースがあります。一部を手元供養に残しつつ残りを改葬する、といった混在パターンでは、自治体と墓地管理者の双方に必要書類を確認しておくと安全です。
改葬をする理由とメリット・デメリット
改葬は確実に増えています。厚生労働省の衛生行政報告例にもとづく解説では、改葬件数は平成21年に72,050件、平成30年に115,384件で、約1.6倍に増えたと整理されています。

お墓が遠い・承継者がいないなど主な理由
理由の多くは生活の変化です。実家を離れて暮らし、お墓が遠方で管理しにくい。継ぐ子どもがいない、あるいは子どもに負担をかけたくない。
宗旨・宗派が変わった、というケースもあります。要するに「今の場所のままでは供養を続けにくい」という事情が背景にある、と考えると分かりやすいです。
改葬で得られるメリット
一番大きいのはお参りのしやすさ。自宅近くや交通の便がよい場所に移せば、足が遠のいていたお墓参りが現実的になります。
承継者問題が解決すること、永代供養つきの改葬先を選べば管理料の負担が軽くなることも実利として大きいです。
費用やトラブルなどのデメリット
正直に言うと、デメリットの中心は「お金」と「人間関係」です。
墓石の撤去、新しい納骨先の準備、お寺へのお布施。これらを合わせると費用は膨らみます。さらにお寺や親族との調整がこじれると、手続き以上に消耗します。安易に始めず、最初に関係者へ相談する順番だけは崩さないほうがいい、というのが私の意見です。
改葬の手続きと流れ・必要書類
手続きの順序は自治体案内でほぼ共通しています。現墓地管理者への連絡、新しい受入先の確保、必要書類の取得、改葬許可申請、許可後に移転。この流れです。

| 書類 | 発行者 | 役割 |
|---|---|---|
| 改葬許可申請書 | 現墓地のある市区町村 | 改葬の許可を申請する用紙 |
| 埋葬証明書 | 現在の墓地の管理者 | 遺骨がそこに納められている証明 |
| 受入証明書 | 改葬先の墓地・納骨堂の管理者 | 新しい受け入れ先がある証明 |
| 改葬許可証 | 現墓地のある市区町村 | 遺骨を移すための許可証 |
改葬先を決め受入証明書をもらう
順番として、まず移し先を決めます。昭島市は「新しい墓地等を確保し、管理者から受入証明書をもらう」と案内しています。先に移転先を押さえるのが基本です。
受入先が決まっていないと、許可申請に必要な受入証明書が出ません。ここを後回しにすると手続き全体が止まります。
改葬許可申請書の入手と記入のポイント
改葬許可申請書は、現在お墓がある市区町村の窓口でもらいます。自治体サイトから様式をダウンロードできるところもあります。
記入で迷いやすいのは、亡くなった方の本籍・死亡年月日・埋葬年月日です。古いお墓ほど記録が手元になく、戸籍や墓地台帳で確認が必要になります。空欄のまま出すと差し戻されるので、分かる範囲を先に埋め、不明点は墓地管理者に照会するのが確実です。
埋葬証明書・改葬許可証の取得
申請書には、現在の墓地管理者が出す埋葬証明書を添えます。書類がそろえば市区町村が改葬許可証を発行します。
名古屋市は、改葬には市町村長(名古屋市では保健所長)の許可を受けることが必要だと案内しています。この許可証が遺骨を動かす根拠になります。
遺骨の取り出しから納骨までの流れ
許可証を受け取ったら、現墓地で遺骨を取り出します。多くの場合、ここで僧侶による閉眼供養(魂抜き)を行います。
取り出した遺骨を改葬先へ運び、納骨。新しいお墓では開眼供養を行うのが一般的な流れです。許可証は改葬先の管理者に提出します。
改葬にかかる期間とスケジュールの目安

競合記事だと意外と薄いのが、この「どれくらいかかるか」。民間解説では3か月から半年程度が目安とされています。法律で決まった期限ではなく、関係者調整を含めた実務的な目安です。

手続き開始から完了までの期間
時間がかかる正体は、書類より「人」です。お寺や親族との相談、受入先の見学と契約、撤去業者の手配。これらが直列で進むと数か月になります。
| 段階 | 主な作業 | 目安 |
|---|---|---|
| 相談 | 親族・お寺への相談 | 2週間〜1か月 |
| 受入先決定 | 見学・契約・受入証明書 | 2週間〜1か月 |
| 申請 | 書類取得・改葬許可申請 | 2週間程度 |
| 移転 | 取り出し・運搬・納骨 | 1〜2週間 |
書類が揃わない・管理者不明のときの対処
古いお墓で困りやすいのが、埋葬証明書を出してくれる管理者が分からないケースです。無縁化した墓地ではここで詰まります。
こういうときはまず、墓地のある市区町村に相談するのが先決。自治体によって、管理者不明時の取り扱いや、申請者が事情を申し立てる方法を案内してくれます。自己判断で遺骨を動かすのは避けてください。許可前の移動は法律違反になります。
改葬先の種類と選び方の比較
自治体案内では、他の墓地や納骨堂への移転が改葬先として確認できます。実際にはもっと選択肢があり、ここを比べずに決めると後悔しやすい部分です。

納骨堂・樹木葬・散骨・手元供養の特徴
| 種類 | 特徴 | 承継 | お参り |
|---|---|---|---|
| 一般墓 | 従来型の墓石。家族で代々使える | 原則必要 | 現地で可 |
| 納骨堂 | 屋内に収蔵。天候に左右されにくい | 施設による | 現地で可 |
| 樹木葬 | 樹木や草花を墓標にする | 不要の例が多い | 現地で可 |
| 散骨 | 海洋などに撒く。墓を持たない | 不要 | 対象なし |
| 手元供養 | 一部を自宅で保管 | 不要 | 自宅 |
改葬先を選ぶときの判断基準
私が見るべきだと思う軸は3つ。継ぐ人がいるか、通える距離か、総額がいくらか。
承継者がいないなら永代供養つきの納骨堂や樹木葬が現実的です。散骨は費用を抑えやすい一方、遺骨が手元に残らず後から「お参りする場所がない」と感じる人もいます。迷うなら、一部を手元供養に残して残りを散骨する折衷案を検討する価値があります。
改葬の費用の内訳と抑えるコツ
費用は大きく「旧墓地を片づける費用」と「新しい改葬先の費用」に分かれます。改葬許可申請自体の手数料は、民間解説で0〜300円程度とされ、自治体ごとに異なります。

旧墓地の処分・更地返還の費用
発生しうるのは、閉眼供養のお布施、墓石撤去費用、離檀料など。これらは公定料金ではなく、寺院・業者・地域で差があります。
墓石を撤去して更地に戻し、使用権を返すまでがワンセット。区画の広さや重機が入れるかで撤去費は変わるので、現地を見てもらった見積もりが欠かせません。
新しい改葬先にかかる費用
新しい墓を建てるなら墓石代と永代使用料、納骨堂や樹木葬なら使用料と管理料。ここは選んだ種類で金額が大きく動きます。
前掲の比較表のとおり、散骨や手元供養は墓石が不要なぶん抑えやすい傾向です。総額で比べるなら、初期費用だけでなく年間管理料も足して計算してください。
お布施・離檀料の相場と交渉のコツ
離檀料は、お寺の檀家をやめる際に納める金銭です。明確な相場がある世界ではなく、地域やお寺との関係で幅があります。
私が勧めるのは、金額交渉の前に「これまでお世話になった感謝」を先に伝えること。事務的に切り出すとこじれます。高額を請求されて納得できないときは、一人で抱えず自治体の相談窓口や専門家に相談するほうが冷静に進められます。
相見積もりや代行サービスの活用
撤去費は業者で差が出ます。最低2〜3社から相見積もりを取ると、相場感がつかめて言い値を避けられます。
書類取得から運搬まで一括で請け負う代行サービスもあります。手間は減りますが、その分費用は上乗せ。平日に役所へ行ける人なら申請は自分でやり、撤去だけ業者に頼む、という分担が費用と手間のバランスがよいと感じます。
トラブルを避けるための進め方と実例

改葬で実際にもめるのは、手続きより人間関係です。順番を間違えると修復に時間がかかります。最初の一歩は親族とお寺への相談、と決めておくと事故が減ります。

親族の同意の取り方と伝え方の文例
先に決めてから事後報告、が一番もめます。検討段階で相談する形をとってください。
伝え方の一例。「お墓が遠くてお参りが難しくなってきたので、皆が手を合わせやすい場所への移転を考えています。費用や供養の方法も含めて一度相談させてください」。決定ではなく相談の姿勢を見せるのがコツです。
お寺との離檀交渉でもめないコツ
いきなり「お墓を移します」ではなく、事情を丁寧に説明することから。長く供養してもらった感謝を言葉にするだけで、空気はかなり変わります。
離檀料に明確な定価はありません。提示額に疑問があれば、その場で即答せず持ち帰り、ほかの事例や専門家の意見を確認してから返答するのが安全です。
古い遺骨・土葬遺骨の洗骨・粉骨の扱い
古いお墓には、土葬のままの遺骨や、長い年月で土に還りかけた遺骨があります。改葬先によっては、そのままでは受け入れられないことがあります。
納骨堂や樹木葬では、洗浄(洗骨)や粉骨を求められる場合があります。土葬遺骨の改葬は乾燥や洗浄に手間がかかるため、取り出し前に改葬先と墓地管理者へ受け入れ条件を確認しておくと、現場で慌てずに済みます。
改葬に関するよくある質問
最後に、検索でよく一緒に調べられる疑問へ短く答えます。手続きの根拠は墓地、埋葬等に関する法律で、許可申請の窓口は現在お墓がある市区町村です。

